近年注目を集めている不動産クラウドファンディング。インターネットで申し込むことができる手軽さや、1万円からと少額から投資できる仕組みが特徴です。
手軽に始められるとはいえ、自分のお金を投資するのだから利回りがどれくらいなのか気になると思います。
しかし、不動産クラウドファンディングと一口に言っても、クラウドファンディングを提供する会社は多く、運用される物件のタイプや利回り、案件ごとのリスクなどが異なります。
●不動産クラウドファンディングで利益が配当される仕組み
不動産クラウドファンディングとは、不動産特定共同事業法という法律に則って運営される不動産購入の資金調達を目的としたクラウドファンディングのことを言います。
インターネットを通じて投資家から資金を募り、集めた資金を元に事業者が不動産を購入し、運用期間中の賃料収入や売却益を分配金として投資家に戻すという仕組みです。
物件所在地も公開されているため、築年数から管理状態などの情報も確認が可能です。
また、少額で手軽に始めることができ、投資した後の運用期間中は何もしなくていい不動産投資クラウドファンディングは不動産投資として注目されています。
しかし、あくまで投資なので元本割れのリスクもあります。
元本割れのリスク
元本割れとは、不動産相場の急激な暴落などにより、運用後の金額が、投資した金額より下がってしまうことをいいます。
不動産クラウドファンディングでは、賃料収入から分配金が一定期間支払われ、最後に物件を売却して元本償還にあてられます。なので物件が想定よりも安く売却された場合元本割れの危険性が高まります。
クラウドファンディングでは、元本の保証がされていませんので、元本割れのリスクが常にある事を意識しておきましょう。投資である以上、リスクはつきものではありますが、リスクを回避するポイントがあります。
それは「利回りが高いだけの案件は避ける」、「劣後出資割合の大きい会社を選ぶ」、「短期の案件を選ぶ」、「投資先を偏らせない」、「倒産リスクの低い事業者を選ぶ」の5つです。
「利回りが高いだけの案件は避ける」
不動産投資クラウドファンディングでは、利回りが3%のものから、5%を超えるものまであります。
利回りの高い方が効率のよい資産運用が可能となりますが、安全性を重視するのであれば、利回りが高すぎる案件は避けたほうが無難でしょう。
マンションなどの居住用不動産は人が住んでいる限り需要が発生するので、他の不動産と比べて収益が安定しやすいと言われています。一方、商業施設や宿泊施設などは高利回りが期待できますが、昨今のコロナ禍のように観光客などの需要に左右されやすいと言われています。リスクを避けたいのであれば利回りが高いだけの案件は避けましょう。
「なるべく短期の案件を選ぶ」
投資期間が、例えば20ヶ月という短期間であるなら、その期間内に運用に大きなトラブルが起こる可能性は低いと言えるでしょう。
そのため元本割れリスクを小さくする上では、投資期間は長期より短期の方がいいのです。
「投資先を偏らせない」
投資先をひとつに絞ってしまうと、その物件が上手くいかなかった場合、損失が大きくなる可能性があるので、資産運用をする際には、分散投資を心がけましょう。
投資先を複数に分散させると、ひとつの物件が上手くいかなくても損失を小さくに押さえることができます。
また、投資先だけではなく、物件の種類なども分散させるなどの工夫も必要です。
「過去に元本割れを起こしていないかチェックする」
元本割れを避けるためには、リスクが低い案件を選ぶだけでなく、事業者にも気を付ける必要があります。
案件自体がいくら良くても、事業者の経営姿勢や状況によっては、大きな資金管理のトラブルに発展するかもしれないからです。
事業者によっては過去の元本割れ発生件数などを、ホームページ上で公開していることもあるので確認しておくことをおすすめします。
劣後出資による出資者保護
不動産投資クラウドファンディングは投資ですので、「必ず利益が出る」というものではなく、予想していたよりも利回りを得られないことや、元本割れしてしまうリスクもあります。
そこで、「優先劣後出資方式」を取り入れている会社、劣後出資割合が大きい会社を選ぶことが会社選びのポイントになります。
優先劣後出資方式とは、投資家が配当金は一定額まで先に分配され、損失は後で負担する仕組みのことです。事業者は損失を先に負担します。
そのため、投資家が損失を負担する可能性が低くなります。
安定した資産運用をしたい方や、始めて不動産投資クラウドファンディングに挑戦する方は、事業者の劣後出資割合を比べてみましょう。
●予定利回り
不動産クラウドファンディングの予定利回りとは、投資した金額に対する収益の見込みを、1年当たりに平均した数値のことです。
予定利回りは現時点のものになるので、運用の成果を保証するものではありません。
利回りには、予定利回りの他にも大きく「表面利回り」、「実質利回り」の2種類があります。
投資にかかる手数料や税金などを加えるかどうかが2つの違いとなります。
収益から単純に計算する場合は「表面利回り」、費用を加えて計算する場合は「実質利回り」です。
投資しようと思っている案件が表面利回りなのか、それとも実質利回りなのかを意識して見ておかなければ、思っていた利益が得られなかったり、元本割れを起こしてしまう可能性もあるのです。
他の不動産投資と比較した利回り
投資してみたいけど、どのような種類があるのか分からないからと迷っている方もいるのではないでしょうか。
クラウドファンディングは、その内容やリターンの種類によって金銭的リターンを求めるものと求めないものに分けられ、不動産クラウドファンディングは、リターンが金銭になる「投資型」に分類されます。
投資型クラウドファンディングは、「貸付型(ソーシャルレンディング)」と、「株式型クラウドファンディング」「ファンド型(不動産投資クラウドファンディング)」の3つに分けられます。
「貸付型(ソーシャルレンディング)」
クラウドファンディング事業者が、お金を借りたい法人や個人に対し投資家から集めたお金を「貸付」の方法で提供するクラウドファンディングです。
1万円から投資することができ、貸付の際に上乗せされた金利をリターンとして受け取れます。
「株式型」
上場企業の株を取引する通常の株式投資と異なり、株式投資型クラウドファンディングは、未上場企業の株に投資ができ、リターンとして企業の株を受け取ります。
「ファンド型(不動産クラウドファンディング)」
1万円からの不動産投資が可能であり、情報の公開が進んでおり運用される不動産物件の住所や事業内容まで公開されていることから選びやすい投資方法です。
しかし、元本が保証されているわけではないのでリスクのある投資方法ともいえます。