1.売買(低廉な空家等の媒介の特例)
低廉な空家等(物件価格が800万円以下の宅地建物)については、当該媒介に要する費用を勘案して、原則による上限を超えて報酬を受領できる(30万円の1.1倍が上限)。
① 低廉な空家等とは
「低廉な空家等」とは、売買に係る代金の額、または交換に係る宅地、または建物の価額が800万円以下の金額の宅地、または建物をいい、当該宅地、または建物の使用の状態を問わないとされています。以上により「低廉な空家等」には、単に空き家のみならず、居住中の家屋、宅地、更地も含まれます。
② 低廉な空家等の媒介の特例の主な改正点は
改正後の告示第七(低廉な空家等の売買又は交換の媒介における特例)について、改正前との比較は下の図表のとおりです。
③ 費用を勘案してとは、どういったものなのか
国土交通省が公表した「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」によれば、「費用を勘案して」とは、報酬額の算出にあたって、取引の態様や難易度等に応じて当該媒介業務に要すると見込まれる費用の水準や多寡を考慮することを求めるものであって、当該費用に相当する金額を上回る報酬を受けることを禁ずる趣旨のものではないとされています。
2.賃貸(長期の空家等の媒介の特例)
長期の空家等(現に長期間使用されておらず、または将来にわたり使用の見込みがない宅地建物)については、当該媒介に要する費用を勘案して、貸主である依頼者から、原則による上限を超えて報酬を受領できる(1ヶ月分の2.2倍が上限)。
①長期の空家等とは、どのぐらいの期間を想定しているのか
「長期の空家等」とは、貸主である依頼者から媒介の依頼を受ける時点において、少なくとも1年を超える期間にわたり、居住者が不在となっている戸建の空き家や分譲マンションの空き室が想定されるほか、相続等により利用されなくなった直後であって今後も所有者等による利用が見込まれないものについては、期間の定めはないものとなっています。
②長期間、空家となっている賃貸集合住宅(アパート、マンション)等は特例の対象となるか
賃貸集合住宅の空き室は、事業の用に供されているものと解され、特例の対象となりません。
③長期の空家等の貸借の媒介の特例の対象に、 土地が含まれるか
たとえば空き地は「長期の空家等」に含まれますので、特例の対象となります。
※上記1,2のいずれの場合も、あらかじめ依頼者への説明と合意が必要です
今般の媒介特例を適用して報酬を受領する場合においては、媒介・代理契約の締結に際し、あらかじめ特例で定める上限の範囲内で、報酬額について依頼者に対して説明し、合意する必要があることに、特に留意が必要とされています。たとえば媒介契約書において、報酬額のほか、特例を適用する旨を注記し、依頼者に説明を行う等の方法があります。
なお、媒介契約書への記載例につきましては、下記をご参照ください。