仲介手数料に関するトラブルを防ぐには、仲介手数料に対する法規制や媒介契約の締結時の注意点を押さえておきましょう。
法規制により仲介手数料には上限があります
宅地建物取引業法により、不動産会社が受け取ることのできる仲介手数料には上限額があります。したがって、不動産会社が上限額を超える仲介手数料を受け取った場合は、法令違反となります。また、法令で定められているのはあくまでも上限額ですので、当然に上限額を請求できるということではありません。
仲介手数料は売買契約が成立して初めて発生する
不動産の取引の仲介では、売買契約が成立したときに不動産会社の仲介手数料の請求権が発生します。(一般的に「成功報酬」といわれています。)したがって、売買契約が成立するまでは、原則として、不動産会社に仲介手数料を支払う必要はありません。
手数料の支払い条件も協議する
売買契約が成立すると、不動産会社に仲介手数料の請求権が発生しますので、例えば、売買契約成立時に仲介手数料の全額を不動産会社に支払っても、違法というわけではありません。ただし、不動産売買では契約締結時点で引き渡しまで完了していないことが多いことから、一般的には契約締結時に仲介手数料の50%を支払い、引き渡し完了時に残りの50%を支払うことが望ましいとされています。
仲介手数料以外の費用等の取り扱い
通常の仲介業務で不動産会社に発生する費用は、依頼者に請求することはできません。例えば、一般的に行われる広告費用や購入希望者の現地案内にかかわる費用は、売買契約成立時に発生する仲介手数料に含まれるものです。例外的に、依頼者の特別な依頼に基づき発生した広告費用等の「実費」については、請求することが認められています。例えば、依頼者の希望で実施した通常の販売活動では行わない広告宣伝の費用、依頼者の希望で行った遠隔地の購入希望者との交渉のための出張旅費などについては、不動産会社は仲介手数料とは別に請求することができます。
ただし、あくまでも
(1)依頼者の依頼に基づいて発生したものであること、
(2)通常の仲介業務では発生しない費用であること、
(3)実費であること、
のすべてが満たされている場合に限定した例外的な取り扱いであることに留意しておきましょう。
【仲介手数料の上限額】
不動産会社に支払う仲介手数料は、以下の通り売買代金の金額区分ごとに上限が定められています。
【仲介手数料の上限額の計算例】
●売買価格が1,000万円の土地の仲介手数料の上限額
→売買価格を次のように分解して計算します
a) 200万円までの部分
200万円 × 5% = 10万円
b) 200万円超 400万円までの部分
200万円 × 4% = 8万円
c) 400万円超 1,000万円までの部分
600万円 × 3% = 18万円
a + b + c = 36万円
※この額に消費税を上乗せした金額が仲介手数料の上限額になります。
なお、400万円を超える物件については、以下の式で仲介手数料の上限額を速算することができます。
→売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税
低廉な空き家等の売買に関する特例
低廉な空き家等の売買などで通常と比べて現地調査などの費用が発生する場合、空き家の売り主または交換をする者から受け取れる仲介手数料は、上記の上限額と現地調査などの費用を合計した額(ただし、上限は18万円+消費税)までとなります。仲介手数料については、事前に両者間で合意する必要があります。
注意すべき不動産会社
仲介手数料に関して、次のような不適切な協議を行う不動産会社には注意しましょう。何か疑問を感じることがあったら、納得できるまで確認すべきです。不誠実な説明を受けた場合には、その不動産会社への依頼を再考する余地があります。
- 上限額を超える手数料条件を提示する
- 上限額をあたかも法律により一律で設定された手数料であるとの説明を行う
- 仲介手数料以外に発生する広告費等を当然に請求する
仲介手数料に関する法規制の詳細はこちらを参照してください。