●登録免許税とは?計算方法は?
住宅を購入するときには、土地や建物に買った人の所有権を登記します。これは法務局(登記所)にある登記簿に土地や建物の所有権を記録して公示するための手続きです。つまり、「この不動産は私が所有しているものです」ということを対外的に示すというわけです。
登録免許税とは、この登記手続きの際に国に納める税金のことで、税額は土地や建物の評価額(固定資産税評価額)に税率をかけて計算します。ただし新築のため建物(家屋)に固定資産税評価額がまだ付けられていない場合には、法務局で認定した課税標準価格に税率をかけることになります。税率は登記の種類によって異なり、土地の所有権移転登記は2.0%、建物(住宅用家屋)を新築したときの所有権保存登記は0.4%、中古住宅などの所有権移転登記は2.0%となっています。
土地や中古住宅は自分が買う以前に別の持ち主がいるので、その持ち主(売主)から自分(買主)に所有権を移転する登記になります。これに対し、建物を新築する場合は新たに所有権を設定した登記簿を作成してそれを保存する登記になります。
なお、登録免許税は住宅ローンを借りるときにも課税されます。金融機関が土地や建物に抵当権を設定する登記が必要になるからです。抵当権とは土地・建物を担保にお金を融資し、もしも返済が滞ったら差し押さえて競売などにかけて貸したお金を回収できる権利のことです。
抵当権の設定登記にかかる登録免許税は、住宅ローンの借入額に税率をかけて計算し、税率は0.4%です。
登記の種類と登録免許税の税率
●どんな場合に軽減されるの?
上記の税率は本則税率といって、本来の税率を示しています。しかし、住宅を購入するときは軽減措置が受けられ、税率が引き下げられる場合があります。ただし、軽減措置を受けるにはいくつかの条件を満たさなければなりません。
【土地】
土地の所有権移転登記は、令和5年3月31日までに登記をすれば0.5%引き下げられ、2.0%→1.5%になります。要件は期日だけで、面積などは問われず、住宅が立っているかどうかも関係ありません。
【建物】
・新築建物の所有権保存登記 0.4%→0.15%
・中古建物の所有権移転登記 2.0%→0.3%
に、それぞれ軽減されます。
こちらの軽減措置には住宅に関するいくつかの要件があり、まず登記簿上の床面積が50m2以上でないと軽減されません。
この「登記簿上の床面積」というのは、マンションの場合、壁の内側で囲まれた「内法(うちのり)面積」を指します。広告などに表示される専有面積は、壁の厚みの中心線で囲まれた「壁芯(かべしん)面積」なので、内法面積より少し広くなっています。つまり広告で50m2を少し超えている住戸でも、登記簿上は50m2未満となり、登録免許税の軽減が受けられないケースがあるので注意が必要です。
なお、建物と抵当権の軽減措置は、いずれも令和4年3月31日までの自宅の取得が要件となっています。
中古の建物の場合は、軽減措置の要件として、築年数の制限もあります。マンションは築25年以内、木造一戸建ては築20年以内です。この築年数を超えていても、建築士が耐震診断をするなどして現在の耐震基準(新耐震基準)に適合していることが証明できれば同じように軽減を受けられます。
住宅ローン借り入れの際の抵当権設定登記も、軽減を受けると税率が0.1%に引き下げられ、この軽減措置の要件も、建物の所有権登記の場合と同じです。
●どうやって登記するの?
登記手続きは、土地や建物の引き渡しと同時に行われるのが原則です。引き渡しの際には代金の支払いと鍵の受け渡しが同時に行われます。住宅ローンを利用して購入する場合は、金融機関による住宅ローンの実行、つまり代金の口座への振り込みなども同時です。
そのため、引き渡しの手続きは金融機関の一室に売主や買主、不動産会社などの関係者が集まって行われることが多いです。引き渡しと代金の支払いを同時に行うことを「同時決済」といい、登記手続きは同時決済のあとに、場所を法務局に移して行われます。
この登記手続きは司法書士によって行われるのが通常なので、買主は特になにもしなくてよく、その代わり、司法書士に手数料を支払うことになります。手数料はケースバイケースですが、5万~10万円前後が一般的です。
具体的に登録免許税がいくらかかるのか、新築一戸建て、新築マンション、中古マンションそれぞれについて、物件価格4,000万円、住宅ローン借入額3,000万円として試算した結果が下の図表です。
登録免許税はいくらかかる?
税額の合計では新築一戸建てが最も高いですが、土地の評価額が高いためです。また新築マンションより中古マンションが高いのは、建物の保存登記よりも移転登記のほうが税率が高いことが理由となっています。
このように登録免許税は1つの住宅に対し、抵当権を含めると3種類の登記それぞれに違う税率でかかるため、計算は少し複雑になります。しかし実際の手続きは司法書士がしてくれるので、きちんと軽減が受けられているかどうかを司法書士から渡される書類などで確認しておけばよいです。