収入が安定し、家族も増えてくると、マイホームの購入を意識し始めます。しかし、マイホームは人生最大の買い物になるため、慎重になっている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、マイホーム購入を検討している人のため、後悔しないためのポイントなどをご紹介したいと思います。
●家を買うタイミングはいつ?
みんなはいつごろ家を買っているの?
国土交通省が毎年実施している「住宅市場動向調査※」の結果を見ると、マイホーム購入時の世帯主の年齢は、「注文住宅(新築)」「分譲戸建住宅」「分譲マンション」「中古戸建住宅」では30代が、「注文住宅(建て替え)」と「リフォーム住宅」では60歳以上がそれぞれ最も多く、「中古マンション」では40代と30代がそれぞれ3割程度を占めています。
また、マイホームを購入するタイミングの平均年齢は、「注文住宅(新築)」が41.4歳、「注文住宅(建て替え)」が61.3歳、「分譲戸建住宅」が39.7歳、「分譲マンション」が42.7歳で新築の家は建て替えを除いて30代が最も多く、平均年齢も40歳前後になる傾向がありました。一方、中古の家は、「中古戸建住宅」が46.2歳、「中古マンション」が46.0歳、「リフォーム住宅」が59.4歳で、平均年齢は新築よりやや高めでした。
住宅ローンの返済期間は35年など長期にわたることもあるため、世帯主が働き続けられる年数を考慮しなければなりません。そうなると、収入が安定し始める30代から40代が住宅ローンを利用しやすく、多くの人がそのタイミングで家を買っていると言えそうです。
※平成30年度 住宅市場動向調査報告書より
平成29年度中(平成29年4月~平成30年3月)に住み替え・建て替え・リフォームを行った世帯が対象
無理なく買える家の価格は年収の何倍まで?
購入するマイホームの目安は「年収の5倍~7倍」とされています。これをもとに計算すると、例えば年収600万円の人は、「3,000万円~4,200万円」の家なら無理なく買えることになります。
しかし、家を買う場合はほとんどの人が住宅ローンを利用するため、「年収の何倍まで」ということよりも、「無理なく返済を続けられること」が重要になってきます。また、用意できる自己資金(頭金)の額や想定する借入期間、利用する住宅ローンの金利等によって、「無理なく買える家の額」が大きく変わるため、それぞれの状況にあわせて考える必要があります。こうしたことを念頭に、自分の年収だと何倍くらいなら無理なく家を買えるのか、次のような手順で計算してみましょう。
1)毎月の返済可能額を計算する
毎月の収入から生活費など必要なお金を引いて、無理なく返済ができる金額を計算してみましょう。
2)借入期間を計算する
自分の年齢をもとに、あと何年働けるのかイメージしてみましょう。なお、住宅ローンには完済時の年齢に上限があり、金融機関がそれぞれ設定しています。
3)検討している金融機関の金利をチェックする
複数の金融機関の住宅ローンをチェックして、できるだけ有利な条件で借りられる金融機関を探しましょう。給料の振込先や公共料金の引き落とし先などは、条件が合えば優遇金利が適用されるため要チェックです。
4)シミュレーションしてみよう
返済計画・資金計画をもとに、住宅ローンのシミュレーションをしてみましょう。
住宅ローンにはさまざまな条件がありますが、ここでは【フラット35】で最も多い金利1.5%でシミュレーションしてみます。
例)年収600万円・固定金利・金利1.5%・借入期間35年・元利均等返済方法・ボーナス払い 10万円×2回
毎月の返済額を8万円(ボーナス返済 10万円×年2回)でシミュレーションすると、借入額が約3,155万円で、無理なく返済できる金額は年収の約5.2倍になります。もしも、返済期間だけ30年に短縮し、そのほかの条件を同じにしてシミュレーションすると、借入額は約2,799万円で、無理なく返済できる金額は年収の約4.6倍になります。
■年収600万円
・毎月の返済可能額:8万円、ボーナス月10万円×年2回
・固定金利1.5%(元利均等返済)
自分がムリなく返済できる金額がいくらになるかの目安は、住宅ローンのシミュレーションツールで試算することができます。用意できる頭金の額や月々の返済可能額などをもとに、自分の目安を計算してみましょう。
●家を買って後悔しないポイントは?
お金の問題で注意するポイント
1)返済額は「家賃並み」の言葉に注意
モデルルームなどを訪れると、営業担当者から「月々の返済額は家賃並み」と勧められることがあります。実際にシミュレーションしてもらうと、確かに家賃並みの返済でマイホームを手にできるため、購入を決断する後押しになることも多いようです。
営業担当者の「月々の返済額は家賃並み」というフレーズは決して間違いではありません。しかし、実際に不動産を手に入れると固定資産税や修繕費用などの支出があるほか、全期間固定金利以外のプランで住宅ローンを組んでいる場合は、将来金利が上昇して月々の返済額が増えるリスクがあります。こうした出費があることを理解したうえで、資金計画を立てることが大切です。
2)頭金も必要だけど、予備費は残しておく
住宅ローンを利用して家を買うときに用意するのが「頭金」。頭金をたくさん用意すれば借入額が少なくなり、返済が楽になります。さらに、最近の住宅ローンには、一定割合以上の頭金を用意すると金利が優遇されるプランも用意されているため、できるだけ多くの頭金を準備したいところです。
しかし、手元資金を残さず、貯金の大半を頭金に充ててしまうと、勤務先の業績悪化による収入減や転職、病気など、万一の場合に返済を続けられなくなります。住宅ローンを申し込む場合には、万一の場合でも返済を続けられるよう、ある程度の予備費を残しておくことも大切です。
3)親から資金援助してもらう場合は税金に注意
親から資金援助を受けて家を買う場合には、贈与税が課税されないように注意しなければなりません。贈与税は、年間110万円を上回る贈与に対して課税され、税額もかなりの負担になります。そのため、親から住宅資金を受ける場合には、「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」や「相続時精算課税制度」などを活用して、税負担を抑える工夫が必要です。また、親から住宅資金の借り入れをする場合でも、贈与とみなされないように借用書を作成し、預金口座に振り込むなどして返済の事実を残しておきましょう。
家の場所・立地選びのポイント
マイホームは簡単に買い換えができないため、長く・快適に住み続けられる場所で家を買うことが重要です。特に近年は自然災害が頻発し、洪水や土砂災害などが多発していることから、市区町村などが公表しているハザードマップを事前に確認して、災害の発生リスクをチェックしておきましょう。また、小学校や中学校などの教育施設の場所、商業施設や医療施設は充実しているのかなど、周辺の環境も確認しておきましょう。
戸建てorマンション? 新築or中古? 物件選びのポイント
マイホームは戸建てとマンション、新築と中古でそれぞれメリットとデメリットがあります。家を買ってから後悔しないように、それぞれの特徴を事前にチェックしておきましょう。
もしも、家を買ってから後悔した場合、買い換えも選択肢の一つになります。
●家を買うには様々な費用が必要になる
購入時・購入後に必要な費用
家を買う場合には、物件価格以外にもさまざまな諸費用がかかります。諸費用は現金での支払いとなるため、資金計画を立てる場合には、こうした費用についても事前に確認し、あらかじめ用意しておきましょう。
購入時に必要な費用
・住宅ローンの手数料(事務手数料、保証料など)
・売主との間で交わす契約書に貼る印紙代
・不動産業者へ支払う仲介手数料
・登記費用(所有権保存・移転登記、抵当権設定登記に必要な登録免許税)
・登記を依頼する司法書士への報酬
購入後に必要な費用
・火災保険の保険料
・分譲マンションの場合には管理費や修繕積立金
・不動産取得税(所有権の移転登記をしてから4~6カ月後に納税通知書が届く)
・固定資産税(1月1日時点の所有者に対し、4月~6月ごろに納税通知書が届く)
マイホーム購入は人生最大の決断とも言えます。家を買った後に後悔しないため、今回ご紹介した内容を参考に検討をしてみましょう。